すぐやるプロジェクト

2006年。
突然送られてきた一通のお手紙。商品開発担当者は、思わず目が釘付けになったといいます。
そのお手紙には、鬼気迫る切実な想いが綴られていたからです。

お客様の切実な思いに、いてもたってもいられなかった。

差出人は埼玉県にお住まいのA様。当時、お子様が小学生だったのですが、「二分脊髄症」として産まれてきたのだそうです。「二分脊髄症」とは分娩10,000件に対し6名の発症率と言われ、生まれつき脊髄の一部が形成されなかった状態のことをいいます。二分脊髄症の中には神経障害を伴わないものもありますが、一般的に二分脊髄症と呼ぶ場合はなんらかの神経障害を伴い、A様のお子様も神経が分断され下半身不随の状態でした。
下半身の反応がないため、足の指先などがかぶれたり、汗もができたとしても、お子様にはかゆいといった自覚症状がないため、わからないのだそうです。
化学繊維の素材で作られた靴下を履くと、そのような症状ができやすいため、シルク製で膝上まである5本指ハイソックスを、工場直販である山忠で作れないかと、お手紙で想いを訴えられたのでした。

商品開発担当者はいてもたってもいられず、急いで靴下工場と打合せを進め、A様のお子様に向けた靴下の商品化に全力を注ぎました。
この年の8月に1回目のサンプルが完成し、12月には修正したサンプルの完成、翌年の初めにはA様がご希望されていた靴下4色分を2つセットでお渡ししました。後日、A様よりお電話をいただき、「ここまでこんなに良く対応していただいて...」と涙ながらにその喜びをお話されたのだそうです。

いただいた手紙は大切に保管し、社員で共有している。

1日たった一人でもいいから「困った」から救いたい。

今、山忠には「すぐやるプロジェクト」というプロジェクトがあります。
この「すぐやるプロジェクト」はA様との出会いがきっかけで誕生しました。会社は大きくなるにつれ、たった一人のお客様とのご縁の大切さをつい忘れがちになります。効率ばかりを考え、一人の人に満足してもらっても、大した売上にならない。そう考えてしまいがちです。しかし、1日たった一人でいいから、切実な悩みやご要望に応え、お気持ちをくみとって対応させていただこうと、このプロジェクトはスタートしました。

「すぐやるプロジェクト」では、受注オペレータや事務員がお客様より受けた要望に対して、できる限りの個別対応をしていくことを目的としています。

・何回も要望をくださるような切実度が高いもの。
・我々の知識と経験がいかされる、足元からくる様々なお悩みに限定してもらうこと。
・病気の治療への対応は対象外とする。

など、一定の基準は設けていますが、プロジェクトがスタートして以来、お客様の切実な思いにお応えしています。

この「すぐやるプロジェクト」では、お客様のご要望にお応えするために、特別な自社製品のほか、仕入れ商品での対応や他社の商品のご案内をさせていただく場合もあります。
「山忠と出会って、本当に良かった」そんなお声を一人でも多く集めていきたいと思っています。