中林 知宏・亀山 貴司

足裏のアーチの崩れが、
腰痛や膝痛を引き起こすことを突きとめる。

「靴下を知るためには足を知らなければならない」

そんな思いで、山忠では2013年に『足の研究会』を発足し、外部から足に関する専門家の先生をお招きするなど定期的に勉強会を行なってきました。勉強会を通じて足の不具合による課題を見つけ出し、それを商品サンプル化する日々。やがて、商品サンプルを実際に履いてみてどのような効果が表れたのを知るために、足の計測器を導入しました。すると、様々なことがわかってきたのです。

左右の足裏を測定中。
足裏のアーチの形状はもちろん、どこの部分にどれくらい体重がかかっているかわかる。

人間の足にはクッション機能を持つ「アーチ」が、縦と横にそれぞれあります。そして、縦には外側縦アーチと内側縦アーチとがあります。この3つのアーチが崩れてしまうと、膝痛や腰痛を引き起こしてしまうのです。アーチが崩れかかっている方というのは何も特別な方ではありません。
古来より主流だった鼻緒の文化が靴文化へと変わってしまった現代、アーチが崩れてしまっている方は意外にも大勢いらっしゃるのです。
山忠で足のアーチ形成をサポートする靴下を商品サンプル化したところ、靴下を履く前と後で、足の形状に変化をもたらすことがわかりました。つまり、靴下の編地一枚が体に良い影響も悪い影響も与えてしまうことをつかんだわけです。あらためて、責任重大な商品をお届けしていることを再認識するとともに、私たちは単なる「靴下」から足の健康着である「フットヘルスウェア」として、商品を捉え直したのでした。

大学との共同研究や医療現場での臨床実験がスタート。
足の健康は認知症の予防にも効果が。

我々に大きなヒントを与えてくれるきっかけになった足の計測器ですが、この計測器を製造するメーカーの社長様が、新潟医療福祉大学大学院に入学されました。同大学院には足の不具合を研究する世界的権威である教授がいらっしゃるからなのですが、この社長様が山忠のために教授とコンタクトをとってくださり、現在、同大学院と共同商品開発を行なっています。

毎回夕方の5時から共同開発案件に対する意見交換を行ない、終了するのは深夜0時過ぎ。他の業務とも平行して行うのはとても大変なことですが、共同開発を行なっているある大学院生からは「山忠の皆さんの仕事に対する誇りは尊敬していますし、私も靴下による介護予防はとても興味があります」と温かいお言葉もいただいています。

足の指を1本1本動かすことで、血の巡りはよくなります。血液循環がよくなると健康にいい影響があるだけでなく、脳が活性化され、認知症の予防にもつながるという研究がなされているからです。

この大学院にとどまらず、現在では他の大学とも提携して靴下の効果確認を行なっているほか、都内の病院とも臨床研究を行ない、一般用途ばかりではない、医療現場での靴下の可能性も模索しています。

このように、創業期から脈々と続いている山忠の靴下、フットヘルスウェアは、お客様の足の不具合解決のため、進化しつづけているのです。